マタニティ歯科について
妊娠中の治療は
安定期に行いましょう
妊娠中の歯科治療は妊娠3~8か月の安定期に行うのがベストだと思います。妊娠初期は、つわりによりお口を開くことも辛かったり、治療に対する緊張により、流産する可能性も出てくると思います。また重要な臓器を形成する時期のため、応急処置のみとしています。
妊娠後期もお腹が大きくなり、仰向けでの治療が辛くなる時期のため、応急処置にとどめるようにしています。
受診時のお願い
来院時には必ず母子手帳をお持ちください。
産婦人科の先生より注意など受けているときは、院長またはスタッフまでお伝えください。また診療中、気分がすぐれないなどありましたら、すぐにお伝えください。
妊娠・子育て経験者のスタッフが
多く在籍しています
お悩みなどございましたら
お気軽にご相談ください
妊娠中の治療について
母体への負担が大きい治療は
出産後に行いましょう
抜歯などの観血処置は母体への負担が大きいため、基本的には出産後に行います。
ただし、妊娠期であっても観血処置が必要とされる場合はかかりつけ産婦人科医と相談し全身管理が可能な病院の口腔外科へご紹介することもあります。診療時には予定日やかかりつけ産婦人科医について詳細にお聞きしていますので、かかりつけ産婦人科の診療時間内にいらしていただけると、連携治療が可能となり安心いただけると思います。
妊娠中期にむし歯を作らない
予防法を教えています
妊娠中は、食事回数が増えたり、むし歯になりやすい食生活を送りやすくなります。またホルモンバランスの変化により、歯周病になりやすい時期でもあります。
むし歯や歯周病はお母さんや周りの大人の口の中にいるむし歯菌などがスプーンなどを介してお子さんへ感染するため、出産前にしっかり治療しておくことが大切です。特に安定期と言われる妊娠中期は、むし歯や歯周病の治療、歯のクリーニングに最適な時期です。妊娠後期はお腹が大きくなり、診療チェアーに仰向けでいることも辛いと思います。出産後は子育に忙しくなり、治療を受けるタイミングを逃すこともあります。何も症状がなくても、安定期に歯科検診をすることをおすすめします。
当院では妊娠中期に生まれてくるお子さんに対して「むし歯を作らない予防法」を、あらかじめお教えしています。
妊娠中のお口の状態
妊娠中はホルモンバランスが変化し、歯茎や口の中がねばつき、歯垢が溜まりやすい、歯茎が炎症を起こしやすいなど、妊娠性歯肉炎になりやすくなります。また、食事の回数が増えたり、時間が不規則になったり、つわりで歯磨きが十分にできず毎日の口腔ケアがおろそかになることで、むし歯や歯周病になりやすくなります。つわりのために歯磨きが十分にできないことから、プラーク(歯こう)が溜まりやすくなります。母親のお口を清潔に保つことは、生まれてくる赤ちゃんにむし歯菌を感染させにくくするために重要なことです。
妊娠中の口腔ケア
つわりがひどいときは、「できるときに歯を磨く」くらいの気持ちでいてください。
また歯ブラシのヘッドを小さいものに変えたりすると嘔吐反射も出にくくなると思います。歯磨きが困難な時は、デンタルリンスなどでうがいするだけでも構いません。歯磨きが苦痛な時は、キシリトール100%のガムを噛むこともおすすめします。
吐き気を起こしにくい小さい歯ブラシや刺激の少ない歯磨きペーストを使って、いつもお口の中をキレイに保つように心がけましょう。お母さんのお口の健康が、生まれてくる赤ちゃんに大きく影響します。
妊婦さんに
知っておいて欲しいこと
妊娠した時から始まるむし歯予防
赤ちゃんのむし歯予防は妊娠した時からすでに始まっていることはご存じですか?
実は、乳歯は妊娠7週頃から作られ、永久歯は妊娠14週頃からできはじめています。妊娠中、すなわちマイナス1歳から赤ちゃんの歯はつくられ始めるので妊娠中の食生活が、赤ちゃんの歯や味覚に影響を与えています。
生まれた直後の赤ちゃんにはむし歯菌が存在しません。親の唾のついたスプーンの共用などにより、むし歯菌が親から子へ感染すると言われています。これを防ぐためには、お母さんやご家族のむし歯菌の数を減らしておくことが、赤ちゃんのむし歯予防に繋がります。またお母さんが重度の歯周病にかかっていると、早産や低体重児出産を招くと言われています。これらを防ぐには、毎日の口腔ケアがポイントになります。
妊娠したら歯が悪くなる?
『妊娠すると赤ちゃんに歯のカルシウムを取られて歯が悪くなる』と昔から言われてきましたが、そんなことはありません。妊娠中に歯や歯肉を悪くする人が多いのは、女性ホルモンの増加、新陳代謝の変化、消化液(唾液や胃液など)の変化、つわりにより口腔成層が不十分になり、お母さんのお口の健康にも大きな影響を与えるためです。
歯肉の炎症が
起こりやすくなります
妊娠中はつわりのためにブラッシングが十分に行えないほか、女性ホルモンの増加で、血液中に歯周病原菌が増殖して歯肉に炎症が強く現れるようになります。そのため歯周病が重症化しやすく、以前に歯周病にかかったことのある人は再発する可能性も高くなります。お口の中を清潔に保って歯肉の炎症を起こさないようにしていると、歯周病の重症化を予防できるので、日頃からのケアはとても大切です。
歯周病が低体重児出産の原因に
重度の歯周病を持つ人のお口の中で繁殖した歯周病原菌が、血液を介して羊水に入り込むと、免疫細胞が活性化し炎症性の生活活性物質が放出されます。この物質が羊膜を破壊するように働いて、低体重児出産を引き起こすといわれています。またこの生活活性物質の働きによって、プロスタグランディンE2が活性化すると、子宮収縮と子宮けいぶの拡張を引き起こし、低体重児出産の要因になります。
むし歯原因菌は
お母さんから感染します
むし歯の原因になるミュータンス菌は、乳幼児期に保育者(主に母親)から感染することが解っています。さらに、むし歯になりやすい保育者から感染すると、子供も保育者と同じようにむし歯になりやすくなるという報告もあります。むし歯原因菌は、感染する時期が遅ければ遅いほど、その後のむし歯の本数が少ないというデーターがあります。子供のむし歯予防には、ミュータンス菌やソブリユス菌などのむし歯原因菌の感染をなるべく遅らせることや、その数を少なくすることが大切です。
よくあるご質問
Q1. レントゲン撮影はしても大丈夫ですか?
歯医者のレントゲン撮影はお口を中心に行われるため、撮影面積も狭く、お腹から離れています。赤ちゃんはもちろん、お母さんへの影響も少ないと考えられてます。歯医者のレントゲンは医科のレントゲンよりも被爆線量が大幅に少ないです。
撮影時には防護用エプロンを必ず着用していただくため、お腹への赤ちゃんへの影響はほとんどありません。
レントゲン撮影に関して心配などありましたら、お気軽にお近くのスタッフまでお話しください。
Q2. 麻酔の注射は、赤ちゃんに影響しないですか?
歯医者で用いる麻酔は局所のため、通常の使用量なら、母子ともに心配するような影響はありません。
痛みを我慢して治療を続けると、ストレスになることもあります。痛みのある場合は遠慮なくお知らせください。
Q3. お薬を飲んでも大丈夫ですか?
妊娠中のお薬は基本的にだしておりません。
ただ、必要な場合は妊娠の時期や体調などに合わせた影響が少ないお薬を選んでいますのでご安心ください。
Q4. 授乳中ですが、治療を受けても大丈夫ですか?
産後であれば治療は可能です。
授乳中であれば、麻酔や服薬後、薬が体外から排出される5時間後に授乳することをおすすめします。